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血管系のような輸送管ネットワークの形成

  血液は血管網を廻って体内を循環し、必要物資の供給と廃棄物資の回収を行っています。この血管網は定常的ではなく、成長にしたがって広がったり、切断によって再編されたり するように、環境に応じて適した形へと変化、つまり進化するシステムです。酸素欠乏状態がトリガーになって既にある血管の分解が始まり、それが次 の反応のトリガーとなって分解された場所から新しい血管が伸びるそうです。この血管新生は動脈と静脈どちらでも生じ、その結果、体内くまなく血管 網を張り巡らすことができるのです。どうやって毛細血管レベルでその2つが間違いなくつながるのかは(個人的に)まだ知りませんが、必要に応じて ダイナミックに進化するこのようなメカニズムはとても興味深く、自然や生命を理解するヒントとなりそうでもあり、これまでにない材料の開発にもつ ながりそうです。味気ない言葉で言えば環境適応システム、大風呂敷広げると、進化するシステムです。
 transportation networksこのような考えに基づき、私たちはゲル中で自発的に形成する血管系のような輸送管ネットワークの構築を目指した研 究を行っています。例えばゲルに定常的な外圧が加わって変形するなどした場合に、その状況に適応して分岐パターンを変化させるようなものを作りた いと思っています。難解でまだまだ道のりは遠そうですが、流量の少ない管は細って消滅していき、たくさん流れる管は太って強固になる、あるいは新 たに効率的なルートが生じる、といった具合に自動的に最適解に向かうようにするにはどのように設計すればよいのかと頭を捻りながら取り組んでいま す。



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