
電気信号のけもの道を作る
勉強するとどんどん頭が働くようになるし、サボれば…。賢くなったりスポーツが上手くなったりするのは、金持ちにお金が集まるようなポジティブフィードバックの働きによるもので、環境適応や進化を促します。逆に、ネガティブフィードバックはばねのように復元力として働きます。政党の保守と革新のバランスが重要なように、生物もこの2つがアクセルとブレーキとなって恒常性を維持しながら進化するのです。私たちが勉強したときに頭の中で起こることもこれに似ています。電気信号がシナプスを経由してニューロンからニューロンへと伝わるときに正のフィードバックが働いて次の信号が流れ易くなり、逆に放っておくと徐々に流れにくい状態へと変わっていきます。莫大な数のニューロンがつながり、それぞれの接点でこのような変化を起こすことで脳は働いているのです。
これは面白い。けもの道と同じ原理はではないか。ということで、私たちはけものの代わりに電気信号を使ったシステムを作ろうと、ゲル中に接点の状態が変化できるような信号経路のネットワーク作りに取り組んでいます。まずは一番簡単なところから初めていますが、脳がシナプスでの伝達の調節以外にもシナプスやニューロン自体を増減させたりしているように、将来的にはゲルをネットワークの部品貯蔵庫として活用してより変幻自在なネットワークにしていけたらと楽しみにしています。