名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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ブログ「天白で有機化学やってます。」 ブログ「天白で有機化学やってます。」
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最後のセンター試験2020/01/24(金)

「最後のセンター試験」が終了しました。今回は出題傾向がはっきり変わりましたね。明らかに、来年以降の「共通テスト」で目指している方向性を先取りしています。

数学で「マジ涙目」という声が多く上がっていたようです。第2問の [2] が強いインパクトを与えましたね。全分野の中での問題内容のバランスとしては、ちょっと疑問を感じるところもあります。「なんでも箱ひげ図」ではイカンのじゃないでしょうか。社会科学系の人たちの声にひきずられてませんか、と感じました。

化学は「両対数グラフ」が出てきたのが目を引きますね。両対数方眼紙に書いたグラフから、「濃度の対数と反応速度の対数が比例関係にある」ということを読み取って下さい、という意図です。ただね、今どき対数方眼紙なんて使わないんですよ。実験データの対数値を数値として出して、その数値を使ってプロットするのが普通です。だから、この設問では「濃度の対数を横軸、反応速度の対数を縦軸にとってグラフを書くと、原点を通る直線になった」という話に持って行って欲しい。最初から「文章で」そういう聞き方をしてほしかったな、と思います。両対数グラフを読ませる問題にしてしまうと、「大学入学レベルでは対数方眼紙の知識が必要」と誤解されてしまいます。必要なのは、対数方眼紙の知識じゃなくて、「対数同士が比例関係にあることから何がわかるか」なんですよ。

あとは、なんといっても、日本史Bの第1問ですね。これは出題者の「魂の叫び」だな。

チカコ:それにしても、なぜ歴史を学ぶ必要があるのかな? 歴史を学んだり研究したりしても、経済的な利益や技術革新には結びつかないから、そんなのは無駄だといってる人がいたよ。

マサコ:それはとても貧しい発想だね。

もっとも、私は「会話文を使った出題」は国語・外国語の試験以外では不適切だと思っています。どうしても表現が冗長になるし、あいまいさが残りやすくなります。注意深く作題すれば良問を作ることは可能でしょうが、そこまでして「会話文を使う」必然性があるのだろうか、と思うのです。

まあ、いずれにしても、終わったことです。二次試験がある人は、しっかり切り替えていきましょう。「失敗しちゃった…」と引きずっている人は、この記事(「センター試験の結果に涙したリスナーにかける言葉」、マイナビニュース)で、School of Lock のとーやま校長のメッセージを読んで、元気をだしてください。

1/10 に発生した本学学生による傷害事件については、たいへんに心を痛めております。いろいろと思うところがありますが、同じ大学・学部に所属する立場でありますので、当面はコメントを控えておきます。被害に遭われた教員が順調に回復されることと、加害を起こしてしまった学生が法の下で公正な裁きを受けることを祈念しております。

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