名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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大学入試共通テスト迷走中…2019/11/29(金)

萩生田文部科学大臣の「身の丈」発言に始まって、あれよあれよと言う間に急展開。英語民間試験は延期されるわ、国語記述問題は「受験資格選別に使わないように」と通達が出るわ、状況の変化が速すぎて、正直フォローしきれてません。

文部科学省は、大学には「入学試験制度を変更する場合は必ず2年前に告知するように」と常々強く指導しています。今回は、文部科学省自らが「2年前ルール」に違反しまくっている。それだけ問題点が多い、ということです。

教育評論家のおおたとしまささんが、「『大学入試改革』は『中学入試改革』に学べ!」という記事を書いておられます。私立中学の入試と大学の入試は同じようには扱えないので、この記事は「話半分」どころか話5%ぐらいに読んでおいた方がよいと思うけど、最後の一節には深く共感します。

教育とは、ひとを育てる営みであり、それ自体が生き物のようなものだ。生き物は急には変われない。一気にOS(オペレーティングシステム)を変えられるコンピュータやスマホとはそこが違う。しかし生物は、変化が多様で遅い代わりに恒常性が働きやすく、変化に伴うバグを自ら然るべき形で修復できる。

教育をシステムと捉えるか、生物と捉えるか。そこにいちばんのボタンの掛け違いが生じるのではないか。

教育制度というのは、ゆっくりと成熟させていかないといけないのです。「システムを揺さぶれば短期間で成果が上がる」というのは、機械などの無生物を生産した経験しか持たない人の勘違い、または幻想でしかありません。

以前にも書きましたが、受験生の人にはもう一度メッセージを出しておきたいと思います。これから「入試改革」がどう転ぶかは予想がつきませんが、大学で学ぶのに必要とされる能力は1年や2年でそうそう変わるものではありません。だから、今みなさんが進めている準備を、迷わず続けてください。ただし、セコい受験テクニックばかり追い求めてたらダメだよ。本質的な理解にたどりつくための勉強法を、今から磨いていってください。そういう力をつけておけば、入試制度がどうなったとしても対応できるし、大学入学後も、その後の人生においても、役に立つはずです。

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