企業の「開発力」につながる力とは2019/09/30(月)
先週の土曜日、名城大学理工同窓会主催の「情報交流会」というのがありました。夕方の懇親会は別用があったため失礼させていただきましたが、その前の講演会を聴講しました。これが面白かった。
講師の先生は、本学経営学部国際経営学科教授の田中武憲先生です。演題は「100年に一度の大変革」で、自動車産業関連企業の動向を中心に、どのような戦略を立てて臨むべきか、という内容でした。
お話の中で、最近のいわゆる「EVシフト」に象徴される、産業構造の変化にどう対応していくか、という問題提議がありました。特に部品生産の企業は規模の小さい会社が多いので、なかなか難しいところもあるのではないかな、と感じていましたが、果敢に攻めの経営をされている事例が紹介されました。印象的だったのは、「開発力を持っている企業は生き残る」というお話。具体的な例を伺っていると、規模の小さい会社で新規開発を成功させるには、トップの勇気ある決断が必要なのだな、と感じさせられました。
私たち大学人としては、特に大学院において、「開発力」につながる力を学生たちにつけてもらいたいと日々努力しています。でも、「開発力につながる力」って、いったい何なんだろう。私たちが大学院生だった時代(30年ぐらい前)は、それは「化学の専門知識を深く身につけること」だったと思います。でも、今は求められる能力の質がかなり違ってきていると感じています。「フットワークの軽さ」みたいなものが、もっと求められているんじゃないか。
畑違いのものを気軽に取り込んで、それをなるべく高いレベルで融合させられる人が、いい結果を残していくんだと思います。もちろん、その基盤として、大学院レベルの「特定分野の専門知識」を盤石にしておく必要はあります。一つの分野で深い知識を持っている人は、他の分野を深めるのも速いですからね。これからの大学院教育は、そういう意識を持ってブラッシュアップしていく必要があるでしょう。