問題を見つける力をつけよう2019/06/26(水)
ノーベル化学賞受賞者にして、有機合成の大家、野依先生が怒っておられます。
ノーベル賞・野依博士「本気で怒っている」日本の教育に危機感(THE PAGE) #thepage_jp https://t.co/ZVP9QCPxaI
— THE PAGE(ザ・ページ) (@thepage_jp) 2019年6月25日
野依先生の教育観が語られていますが、個人的に一番刺さったのがここ。
科学者として成功するには、何が必要なのか分かりますか。
―― 観察眼やセンスでしょうか。
それらも必要でしょうが、違います。ものすごく単純なんです。自分でいい問題を見つけて、それに正しく答えるということです。この生き方を貫くのです
「自分でいい問題を見つける」って、大事なんだよね。先生はこうも言われている。
最も心配なのは「問う力」がほとんどないこと。誰かに作ってもらった問題に答える習慣が染み付いている。
これは痛感しています。大学教員として、大変に頭の痛い問題です。もっと、「自ら問いを立てる」というトレーニングをしないといけないな、と思うのですが、なかなか実行に移せない。
学生の能力というよりも、価値観なんだと思う。まさに「習慣が染み付いている」。私が有機化学の講義や演習を担当していても、「この問題はどう解けばいいのか」という質問が多いんですよ。大学生にもなって、「問題の解き方」を追い求めていてどうするんだ。そういう問いの立て方は根本的に間違っている、ということを、大学では伝えていかないといけない。あと、「正解」を知りたがり、それを知ったら満足してしまう人が多い。
一方で、そういう質問が私のところに来る、ということは、私自身がそういう(この問題はこういう風に解くんだ、という種類の)メッセージを出してしまっているところもあるんだと思います。学生が勉強しやすいように、という意識が勝ちすぎているのかもしれない。
こういう話になると、やたら上から目線で「とにかくハードルを上げて、ついてこれない学生はどんどん落とせばいい」と放言する人が出てきがちです。旧帝大クラスだったらそれでもいいでしょう。だけど私は、人の学びっていうのは、そんながさつなやり方で達成できるものじゃないと思う。そんなやり方では決して光らないけど、別の磨き方をしたら光る人だっているんですよ。そういう人に光をあてるのが中堅大学の役割じゃないのかな。
そうは言っても、最終的には、野依先生が言われる「自分でいい問題を見つける力」を身につけてほしいと願っています。「この問題はどうやって解くのか」という受け身の問いからは、早く卒業しましょう。