応用化学科の新カリキュラム2018/11/30(金)
あまり表には出ておりませんが、応用化学科では、来年度の1年生からカリキュラムが改訂されます(今の在学生は、入学年度のカリキュラムのまま進行します)。そろそろ来年度のシラバスを提出しないといけないので、講義内容の確認に追われているところです。
私は、新科目として「有機化学基礎」を担当します。1年前期で、必修科目です。「有機化学1」(1年後期)、「有機化学2」(2年前期)は現カリキュラムと同じで、「有機化学演習」が2年後期に移ります。
現カリキュラムだと「有機化学1」「有機化学2」「有機化学演習」の3科目を1年後期〜2年前期の1年間に詰め込んでいたため、内容はかなり端折らざるを得ませんでした。新カリキュラムでは講義が半年分増えるので、詰め込みを少し解消した上で、新しい内容もいくつか入れられそうです。
今のカリキュラムで端折っている内容のうち、次のようなものは何とか入れたいと考えています。
- ヒドロホウ素化反応。実は講義1年目は入れてたんですが、「こりゃムリだ(時間的に)」と悟って2年目からやめていました。本当は入れたい。
- アミンの反応。現カリキュラムでは、「酸と塩基」「SN2反応」「カルボン酸誘導体の反応」などで断片的に取り上げているのですが、やはりまとまった形で紹介したい。
- 有機金属化合物・ラジカル反応・ペリ環状反応。今も取り上げていますが、それぞれ半コマずつしかありません。せめて1コマずつやりたい。
私立大学での教育の難しさとして、学生の学力幅が広いことがあります。上位国立大学の化学科でも通用しそうな学生がいる一方で、高校で「化学」を履修して来なかった学生もいます。そんな中で「有機化学基礎」を1年前期から必修科目で開講するわけですから、レベル設定が非常に難しい。
高校で「化学」を履修しなかったのに敢えて応用化学科に来る人は、それなりの覚悟と意欲を持って入学してくれたと思うのです。そういう人が「(精一杯の努力をしているのに)授業についていけなくて心が折れる」と感じることは何としても避けたい。でも、あまり到達目標を下げてしまうと、高校で「化学」の学力が高かった人はがっかりしてしまうでしょう。それも避けたい。
私の中で、まだ答えは出てません。たぶん、講義を担当する限り、ずっと悩み続けるんだと思います。試行錯誤しながら、自分なりの答えを見つけて行こうと思います。