分子研シンポジウム20172017/06/05(月)
先週の金曜日、岡崎市の分子科学研究所で開催された「分子研シンポジウム2017」に参加して、講演をして参りました。公式の報告は、学科ホームページの「ニュース」に載せてあります。
いやー、めちゃくちゃ緊張しましたね。うちの学科の学生も来てくれていましたが、「なんだ、ヘタクソな講演だな」と思ったかも知れません。実は、分子研の「ヒヤリング」の雰囲気を思い出して、平常心じゃなかったのですよ。分子研では年に一度「所長ヒヤリング」といって、研究成果を全教員+所長+外部の評価委員の前で発表する場がありまして、これがもう胃の痛くなるようなイベントでした。この他にも、3〜4年に一度ほど、外国の著名な研究者が来所して、その人の前で成果報告をして評価を受ける、というのもありました。私は、所内の組織替えの都合で、ほぼ毎年のようにこれを受けるハメになった時期もあったりして、まあ大変でしたね。そんなことを思い出しておりました。実際に講演を聞いていたのは、他大学の学生さんが中心でしたが、他のOBの先生や分子研の現役教員もちらほらいて(え、もしかして所長もおられた?)、ほんと冷汗ものでした。
よくあの環境で15年もやってこれたよな、とつくづく思います。分子研は、たとえ評価が低くても「クビを切る」ような真似はしないので、低い評価をバネにして頑張ればよいのです。よいのですけど、やっぱりしんどいですよ。たまに良い評価をもらったとしても、「所長への直接レポートではこんなもんじゃないだろうなあ」と不安になったりして。
分子研に着任してしばらくたった頃、後にノーベル化学賞を受賞されるある先生とお会いして、「君今分子研におるんか、そんな血色良い顔色しててはいかん、もっとやせて青ざめた顔をしてこそ本物の分子研の研究者だ」と言い放たれたことがあります。なんじゃそりゃ。でも当時もプレッシャーは感じてたんですよ。顔には出てなかったかも知れんけど。
それでも、そういう強いプレッシャーも含めて、分子研はいい環境だったと思います。いろいろな経験ができて、成長させてもらいました。いつまでたっても「恩返しをする」レベルには到達できませんが、せめて分子研での経験を他に伝えることで、研究者社会の活性化に貢献できればと思っています。