名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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「物質量」という用語2016/12/07(水)

「化学と工業」12月号を読んでいたら、「『物質量』という用語が『化学量』に変わる?」という記事がありました。「物質量」とは、モル単位で表した物質の量のことで、物質の構成粒子の数をアボガドロ数で割ったものです。かつては「モル数」と呼ばれていました。私は今でも、「物質量」という言葉には今ひとつ馴染んでおらず、ついつい「モル数」と言ってしまいます。学生に向かって講義や議論をする時には、なるべく注意しているつもりではありますが。

上記の記事の趣旨は、IUPAC(国際純正・応用化学連合)が、「物質量」に相当する "amount of substance" という用語を "chemical amount"(直訳すれば「化学量」)に置き換える動きを見せているということです。実は、IUPAC の公式文書の中で、すでに "amount of substance" の同義語として "chemical amount" という用語が紹介されています(IUPAC Gold Book, "amount of substance")。「モル」というのは化学特有の概念ですから、「物質量」よりは「化学量」の方が自然なのではないかな、と思います。しかし、学術用語というのは一つの専門分野の都合だけで決められるものではありません。また、教育現場で混乱を招く可能性を考えると、十分な移行期間を設ける必要もあるでしょう。

現状は、IUPAC から日本学術会議に対して、「化学量」を正式な学術用語とする提案が示された、という段階です。日本化学会では会員の意見を募った上で、専門委員会で議論する予定とのことです。「ご意見をお寄せいただければ幸いです」と書いてあるわりには、意見の送り先がどこにも書かれていないのですが、日本化学会の学術情報部あたりにメールを送ればいいんですかね?

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