アクティブ・ラーニングとゆとり教育2016/06/01(水)
先日、学内の「教育開発センター」から、「アクティブ・ラーニングの現状に関する調査」というのが回ってきました。担当している科目について、「アクティブ・ラーニング」に関する取り組みをどの程度行っているか、現状を答えて下さい、という趣旨でした。
教育機関における「アクティブ・ラーニング」というのは、「学生が主体的に学ぶように働きかける」ことを意味しています。自習課題を出すことに始まり、ペアワーク・グループワーク、さらにはディスカッション・ディベートを取り入れる試みもあります。
私の担当科目ではどうかというと、講義科目では復習課題を出しているだけで、ほとんどアクティブ・ラーニングの要素は取り入れられていません。考え方をまず講義で教えてあげないと、自分たちで議論するレベルに全く到達できないからです。文科系の科目では、予習をしてきてもらっていきなり講義時間でディスカッション、というスタイルが可能なようですが、理科系の科目ではちょっと無理ですね。そのかわり、実験・演習科目では、ペアワーク・グループワークを大幅に採用しています。
「アクティブ・ラーニング」を「ゆとり教育の再来ではないか」と否定的にとらえる向きもあります。「ゆとり」教育は、知識量を減らしたことによる弊害がしばしば指摘されてきましたが、自分で考える力の強化という点では、一定の成果があったのではないかと私は感じています。今年の新社会人は「ゆとりまっしぐら」の世代です。知識量については確かに心もとないところもあるのですが、「自分で納得して仕事に取り組むと力を発揮する」という特徴ははっきりと感じられます。
今の学生さんに対して望みたいのは、「納得するまでのスピードを速めなさい」ということです。世の中で生きて行くには、いろいろと勝負をかけていかないといけないわけで、その時に「意思決定のスピード」はとても重要です。学校では、「時間をかけて納得がいくまで考える」ことが許されるしむしろ奨励されていますが、社会に出るとそれでは勝負に勝てません。学生の間に、「思考のスピードアップ」に気を配ってトレーニングをしていきましょう。