「京大式おもろい勉強法」(山極寿一著)2016/04/14(木)
ゴリラの研究で著名であり、現在は京都大学の総長でもある山極寿一先生の「勉強法」の本。この本のキーワードは、「京大」でも「勉強法」でもなくて「おもろい」です。「おもろい」は関西弁で「面白い」の意味ですが、ニュアンスが微妙に違います。「面白い」という言葉は「笑い」の要素が強いのに対して、「おもろい」は「興味深い」の要素がより強くあります。研究の議論をしている時に、例えば学生が興味深いアイデアを出したりすると、「ああ、それ、おもろいな」と思わず口にでる、そんな雰囲気の言葉です。山極先生は京大の総長に就任したとき、「おもろいことをやろう」というのをキャッチフレーズにされたそうです。そうそう、大学たるものそうでなくっちゃね、とひざを打ちたくなるような名言です。
いわゆる「勉強法」の本だと思って読み始めると、肩すかしをくらわされるでしょう。アフリカで現地の人とうまく渡り合いながらゴリラの観察にこぎつけ、それでも「ゴリラに受け入れてもらえるまで2年かかりました」なんてことが平然と書いてある。まるで、今時の世知辛く忙しい世の中とは違う時間が流れているかのようです。読み終えてみると、すぐに役に立つわけではないけど、何だか新しい「ものの考え方」を教わったような不思議な気分になります。山極さんに聞けば、きっと「それはゴリラが教えてくれたんですよ」とおっしゃることでしょう。