名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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ブログ「天白で有機化学やってます。」 ブログ「天白で有機化学やってます。」
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万能pH指示薬2014/08/20(水)

あるところで演示実験をすることになりました。子供向けなので色が変わるやつがいいだろう、ということで、「虹の色を出す溶液」万能pH指示薬を用意しようとしたのですが、あいにく在庫切れ。万能pH指示薬というのは要するにいろいろな変色域の指示薬を混合したものですから、レシピさえわかれば自分で作れるはずです。少し調べただけでいろいろ出てきました。今回は、昔からある「山田式万能指示薬」のレシピを使ってみました。なんと1933年に特許が成立しています(特開昭08-099664)。しかもその翌年には、ちゃんと Chemical Abstracts に掲載されています(CA 1934, 28:18942)。日本語の特許文献がですよ。Chemical Abstracts ってすごいなあ。

このレシピで使うのは、次の4つの指示薬です。

  • チモールブルー 5 mg
  • メチルレッド 12.5 mg
  • ブロモチモールブルー 50 mg
  • フェノールフタレイン 100 mg

量り取ってみました。私はこういう秤量の時は、薬包紙でなくサンプルびんを使います。風で薬包紙ごと吹き飛んでしまう失敗が起きにくくなります(うっかり倒してしまうことはありますが)。

左から、チモールブルー、メチルレッド、ブロモチモールブルー、フェノールフタレインです。ブロモチモールブルー (BTB) って白っぽい粉なんですね。知らんかった。

ここにアルコールを加えると、こんな風になります。

ブロモチモールブルー青くないし! 黄橙色だし! チモールブルーもピンク色です。この色だけで名前を当てろと言われたら絶対ムリです。

全部を混ぜてアルコールで薄めて 100 mL にすると、こんな風になります。やっぱり赤い。

0.1 mol/L の NaOH 水溶液を少しずつ加えて、緑色にします。1.4 mL でした。私は軽い赤緑色弱があるので、「赤から緑に変わるところ」を目視で判断するのは苦手です。これちゃんと緑色になってるかな?

指示薬なんてごく少量あればいいだろう、と思っていたのですが、演示実験だと溶液の量が多いので、案外多くの量を使います。100 mL の溶液ではっきり色が見えるようにするには、この濃度の指示薬溶液で 1 mL 程度は必要です。なんかすぐ使い切ってしまいそうだな。

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