名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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Molby 論文出ました2014/05/23(金)

(2024.2.29. お知らせ:Molby のウェブサイトのリンクを更新しました。Sourceforge.jp 改め OSDN.jp へのアクセスが非常に不安定なため、github に移行しました。)

分子モデリングソフトウェアの Molby について、論文を書きました。Bull. Chem. Soc. Jpn. の Advanced Publication で公開されています。(2014.9.19. 追記:現在は出版済み記事のところにあります:10.1246/bcsj.20140093

もともとこのソフトを開発し始めたのは、Chem3D の Mac 版が開発中止になったことがきっかけでした。2004年ぐらいだったかな。最初から業務のつもりでやっていたわけではなく、自宅で空き時間を見つけて細々と開発しておりました。最初は Mac 専用で、分子構造ファイルを読み込んでグラフィック表示するだけだったのが、2007 年頃に Ruby を組み込んで構造作成の自動化を実現、2008 年には Mac/Win 両方での開発に移行、と少しずつ進めてきました。

仕事で使えるレベルまで持って行けそうだな、と感じ始めたのは、2010 年に sourceforge.jp に公開したあたりからです。この頃から、仕事で計算化学を使う時に常用するようになってきました。投稿論文の Methods セクションで引用する場合も出てきたので、sourceforge.jp のウェブサイトだけじゃなくて、ちゃんと論文として出しておかないといかんな、と考えるようになりました。

とはいえ、論文の切り口をどうするかがちと問題でした。Molby は普通の分子モデリングソフトで、特に新しい点があるとは言えなかったからです。「Chem3D の Mac 版の代替として開発しました」では学術論文にはなりません。また、内蔵 Ruby インタプリタの使い心地は個人的には気に入っているのですが、ソフトウェアの専門誌ではなく一般化学の専門誌に出したかったので、ここもあまりアピールポイントにはなりません。そこで、既存のモデリングソフトがあまり重視していない「金属錯体のモデリング」に狙いを定めて、機能を強化してアピールすることにしました。具体的には、論文で取り上げた「Universal Force Field のサポート」「π-金属結合の分子力学のサポート」「X線構造データとの連携」です。レビュアーもこの点を評価してくれて、掲載に至りました。

まだまだ足りない機能がたくさんありますし、不具合の修正も続けていかなくてはなりません。私の本業はあくまでも実験化学者ですが、サイドワークとして Molby の改良も細々と続けて行こうと思います。

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