「大学全入時代」に大学に行く意味2022/11/24(木)
入試シーズンです。大学の推薦入試を受ける方は、ただいま準備の真っ最中でしょう。一般入試を受ける方は、1月の共通テストを見据えて追い込みにかかっているところと思います。
さて、東洋経済オンラインに、下の記事が掲載されていました。
最近ニュースでも話題になっている「大学全入学時代」。選ばなければ誰でも大学に行ける時代に突入するなかで、高校生たちは「大学に行く意味」に頭を悩ませています。https://t.co/m2AuOOZrn8
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) November 23, 2022
筆者の安井元康氏は、同誌で「非学歴エリートの熱血キャリア相談」という連載を持っておられます。やさしい(優しい・易しい)語り口で本質を突く指摘をされることが多く、私は愛読しています。
今回の相談者は、「大学全入時代で大学を卒業することの価値は何なのか?」と悩む受験生の方です。安井さんは、この相談者に対して、大学に行く価値として、次のように語っておられます。
- 一般教養を含めさまざまな学びと経験を積んで将来進むべき道を探る。
- 「ドアノック効果」、つまり進みたい進路に入るための「ドアをノックできる確率」を上げる。
その上で、次のように断言されます。これはとても大事な視点です。
人生において何かを有利にするために大学に行ったり、「とりあえず大学だけは行っとこう」みたいなノリで行ってもまったく意味はありません。
(中略)
つまりただ通っただけではダメで、ただ卒業しただけではダメなのです。そこで何をして何を学び、どう成長したか、が問われるのです。
「ドアノック効果」だけを考えれば、名の通った大学の卒業資格を得れば、とりあえずドアをノックさせてもらえる確率は上がるでしょう。でも、何となく大学に通って卒業した「だけ」の人であれば、その後の選考過程で、薄っぺらさが露呈してしまい、採用に至らないことが多いはずです。採用してもらえる会社に入っても、「何となく仕事をしている」だけの社会人になってしまう可能性は高いでしょう。
この先行き不透明な時代では、「何となく仕事をしている」人が多い会社は存続が難しくなります。自然と、そういう人は淘汰されていくことになります。つまり、「何をして何を学び、どう成長するか」は、学生時代だけではなく、人として生きる限りずっと保ち続けないといけない姿勢になっていきます。
高校までの学校生活では、自由度がそれほどありません。大学での学生生活は、「何を学び、どう成長するか」を自分で考えて実行する大きなチャンスなのです。これから大学を目指す人は、このチャンスをつかむことを目標にしてほしいし、すでに大学に入学した人は、そのチャンスを生かすことを目標にしてほしい。
本学の教員として正直なところを言うと、1年生の間はまだ「何を学ぶか」をこちらから与えてあげないと前に進めない人が多いなと感じます。でも、どこかで突き放さないといけません。今ちょうど1年後期の講義を担当しているので、突き放すタイミングを測っているところです。