名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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FD学習会「アクティブラーニング型授業としての反転授業」2022/09/20(火)

大学教育開発センターの企画で、Zoom学習会「アクティブラーニング型授業としての反転授業」を受講しました。講師は芝浦工業大学工学部・機械工学科の角田和巳先生です(研究室ウェブサイト)。以前から反転授業には関心があったのですが、今回は「大学の理工系学部」での教育実践についてお話しいただき、得るところがいろいろありました。

一般的に「反転授業」と言えば、事前に予習課題を与えておき、教室ではグループワークやディスカッションを中心に学習内容の定着を図る、というスタイルを指します。学習者から見れば、予習課題を学ぶのは「インプット(入力)」の作業で、グループワークやディスカッションは「アウトプット(出力)」の作業です。出力作業の時間を十分に取ることで、学習内容がより定着するのではないかというのが、反転授業の基本的な考え方です。

理工系の科目で反転授業を採用するとき、「インプット」と「アウトプット」の量のバランスに注意が必要です。理工系科目では、学習者が「アウトプット」をできるようになる前に、大量の「インプット」が必要な場合が多々あります。大量のインプットを事前学習で行ってもらおうとすると、消化不良を起こしてしまう危険があります。

角田先生の講演で紹介された事例の一つとして、運動方程式の学習があります。事前学習では「X成分の方程式の導出」を学び、教室では「Y成分・Z成分の方程式の導出」をやってもらう、という方式です。これはうまいなと思いました。事前学習の量をある程度絞り込んでおき、そこから直接導ける、つまり比較的ハードルの低いところにグループワークで取り組むわけです。これなら、学習者がスムーズに段階をこなしていけるでしょう。

このような授業デザインを、各回について行っていかなければならないわけです。そうなると、すべての授業回を反転授業方式にするのは、現実的ではないかもしれません。ある単元について数回分通常講義を行い、その後に学習内容を定着させるための反転講義回を設定する、という方がよさそうです。

予習資料をどのように作られているのかも、紹介していただきました。最初の頃は通常授業の録画を編集していたが、その後 Keynote(Mac 専用のプレゼンテーションソフト)による作成に切り替えられたそうです。黒板に文字を書く時間を省略できるため、動画の時間が大幅に短縮できた、とのことです。文書だけではなく動画の方がいい、ただし講師の「顔出し」は必ずしも必要ない、というお話しでした。

反転授業を本格的に取り入れるのはまだ先になりそうですが、今回学んだことを参考に、少しずつ準備はしていこうと思っています。

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