有機化学2のアンケート結果2020/09/04(金)
「有機化学2」が授業アンケートの対象科目になっており、その集計結果が送られてきました。回答率は50%強。昨年度よりずいぶん上がりました。協力してくださったみなさんありがとう。
回答率が上がったことで、評価・満足度は全体に下がりました。たぶん昨年度は、不満を持っていた人はそもそも回答してなかったんだと思います。回答率をもっと上げると、評価・満足度はもっと下がるのだと予想しています。それがこの講義の真の評価です。心して取り組む必要があるな、と改めて思っています。
今回は、Slack で意見交換するスタイルに対して、賛否両論がありました。毎回議論できてよかった、という声もありましたが、意見を言おうと思ったら議論がもう終わっていたとか、やる気のない人がいるので発言しにくいという声もありました。このあたりは、テキストチャットでの議論の限界だったかもしれません。「やる気のない人」を排除するのは、機会均等の観点からなかなか難しい。しかしながら、やる気のない人は一定数出てきてしまうので、そういう人がいても成立するような進め方を考えないといけませんね。
あと、「もっと教員が議論に絡んできてほしかった」という意見が目につきました。前半は議論に絡む余裕がなかなか持てなかったのですが、後半はそれなりには参加できていたつもりではありました。まだ十分じゃなかったかな。
ただ、こういう意見を持っている人の中には、「教員が『こうだ』と言ってくれないと、正しいのかどうかわからない」と思っている人がいるように感じます。これはちょっと困る。学生同士の議論ですでに結論が出ているのに、私が発言すると「こうなのか?」としつこく聞いてくるタイプの人は、これなんだろうなと思います。
学生の間で議論が進んでいれば、それが「正しい方向か」どうかは、自分である程度判断ができないといけないんです。論拠が提示されていて、それを元に正しく議論が進んでいれば、その結論は「正しい」わけです。論拠を自分で消化できているか、議論についていけているか、ということです。これが、大学で磨くべき実力ですよね。
「先生は常に正解を用意している」という思い込みは、大学以降では通用しません。学問の最先端では、正解がない問題、考え方がいくつもあって論争になる問題、そういうものがあふれています。これは、実社会においても、別の意味で成り立つことです。高校までは、常に「正解」が用意されていて、そこにたどりつくことが多くの人にとっての目標だったでしょう(ただし、レベルの高い高校では、もっと先を目指しています)。この「殻」を、大学での学びを通して、自ら破っていかないといけない。
ある意味、この半年間は、受け身でしか勉強できない人(=「生徒」レベル)と、自力で世界を広げていける人(=「学生」レベル)の間で、非常に差がついてしまった時期かもしれません。対面授業が始まっても、「大学では何を学ぶべきか」をいつも意識して、取り組んでもらえたらなと思っています。