名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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アメリカの科学技術予算が大幅削減2017/03/21(火)

予想された展開ではありますが、大変なことになっていますね…

これは、「トランプ大統領は科学技術に対して無理解である」として片付けられる話ではありません。極度に拡大した現代の科学研究が、巨額の経費を必要としている一方で、いったいどれだけの「リターン」を社会に対して提供しているのか、ということが問われているわけです。科学研究の経費はほとんどすべてが税金で賄われていますから、納税者に対してちゃんとその効果を説明できるのか、ということです。十分な理解が得られないのであれば、予算が縮小されるのはやむを得ない。

日本でも早晩同じことが起きるでしょう。上の記事でも紹介されている、河野太郎衆院議員のブログ記事の通り、科学技術予算が増えることはあり得ない、むしろ減る可能性の方が高い。

科学技術振興予算は今後、増えません。

高齢化による社会保障の自然増をどう抑えるかという議論をしている中で、科学技術振興予算を増やせるというのはまったくの幻想です。

河野太郎公式サイト:「謹賀新年研究者の皆様へ

それに加えて、昨今は、「研究不正」・「研究費の不正使用」の問題がしばしば報道されております。こんなことをやっているようでは、話になりません。(なお、研究上の不正や、研究費の不正は、大型の予算を獲得している研究室で特に起こりやすくなります。成果を数多く出すことと予算を全額消化することが強く求められるからです。)

私たち大学教員は、教育者であると同時に、研究者でもあります。科学研究をめぐる環境が、厳冬の時代に突入することを念頭において、覚悟を決めて日々の仕事に取り組む必要があるでしょう。教育については、この流動性の高い時代に、自力で道を切り拓く力を出来る限り伸ばして行くこと。そして、研究については、学生が「自力で道を切り拓く」のに必要な、鮮度の高いテーマを常に用意しておくこと。

なお、トランプ政権は「地球温暖化」関連の研究予算を大幅に削るようです。日本の科学技術政策はアメリカの動向を数年遅れでフォローすることが多いので、日本でも関連予算が削られる可能性は高いと思います。それでも、私自身は光合成関係の研究は続けて行くつもりです。世の風向きがどのように変わっても、確固たる信念を持って自分の考えを世に問うて行くのが、大学人が果たすべき社会的な役割ですから。

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