有機化学の講義:SN2 反応2015/11/30(月)
今年度も1年後期の「有機化学1」の講義が順調に(?)進み、今週は「脂肪族求核置換反応」に入ります。この講義は今年で3年目なのですが、昨年・一昨年とも、どうもこのあたりが最大の難所のように感じていました。「SN1/SN2 ってさっぱりわからない」という人が多いのですね。その理由がいまだに明確にはつかめていません。今年はどうなるだろう。
SN2 は特に、知るべきことが多いのですね。求核剤の種類と強さ、脱離基の種類と強さ、溶媒効果、アルキル基の構造効果、立体化学…これを全部1コマで済ませてしまっているのだから、そりゃあついていけんわ、という話なのかも知れません。でも、ここを2コマにすると、どっか他の所にしわ寄せがいってしまうんだよなあ…
それから、たぶん歴史的な理由で、多くの有機化学の教科書で SN2 反応の記述に「物理有機化学」的な内容(つまり反応速度論)が色濃く反映されています。これが、「よくわからない」理由の一つにもなっているのかな、と思います。1年生では、なかなか化学反応を「動的なもの」としてとらえることは難しく、2種類の反応の「反応速度の違い」と言ってもイメージが湧かないところがあります。
2年前期の「有機化学演習」、2年後期の「応用化学実験2(有機化学)」まで来ると、だいぶ SN1/SN2 も定着してくるのかな、という印象です。まあ、最終的に定着するのであればいいのですが、やっぱり最初に講義を受けた時点で、少しは「わかった」という気分になりたいよねぇ。いろいろ工夫が必要です。