名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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受験勉強は疑問だらけ?2015/09/30(水)

先日、新聞の読者欄に「受験勉強は疑問だらけ」という投書が載っていました。投書されたのは、名古屋市の高校生の方です。

「受験勉強」は将来役に立つのだろうか。/私は今、すごく無駄な一年を過ごしていると感じている。…なぜ「勉強をしたい」と思っている学生に対し、入試で合否を決めるのだろう。なぜ勉強をするためにお金を払うのだろう。/……私は受験勉強なんかに時間をかけるなら、もっと次の新しいことを学びたい。

受験勉強を「苦しい」と感じていて、閉塞感があるんだろうなあ。この時期、同じようなことを感じている受験生の人は、たくさんいるんじゃないかと思います。

そのようなみなさんの気持ちに届くかどうかわからないけど、大学の教員の立場として、お返事を差し上げてみたいと思います。

「受験勉強は将来役に立つか?」 大学で勉強したいと思っているのなら、当然役に立つと言えます。大学での勉強は、高校までに学んだ内容を前提として進んで行きます。受験勉強というのは、高校までの学習内容を「確実に自分の頭に定着させる」ためにするものなんです。ここが不十分だと、たとえ大学に入学できたとしても、すぐに授業についていけなくなりますよ。

「なぜ『勉強をしたい』と思う人を入試で選抜するのか?」 勉学意欲のある人は全員受け入れてくれてもいいじゃないか、と思うかも知れません。けれども、大学の教室の広さには限りがあります。教員の数にも限りがあります。定員を決めて受け入れることにしないと、実りのある大学教育は実現できません。どうして入学試験で選抜するのか、というと、それが最も公平な方法だからです。ここで「公平」と言うのは、「相応の努力をした人が選抜される」という意味です。たとえば、入学希望者を全員集めてじゃんけん大会で入学者を決める、とか言われたら、そっちの方がイヤじゃないですか?

「なぜ勉強するためにお金を払うのだろう?」 大学は無料では運営できません。教員や大学事務員の給料も必要だし、大学の設備を維持するための経費(建物の維持費や光熱費など)や研究教育のための経費(実験をするための器具や薬品を買う費用など)も必要です。大学は義務教育ではないので、教育(というサービス)を受ける人が相応の対価を支払うのは仕方ないことでしょう。受験料が高すぎる、という意見もありますが、入学試験を公平に実施するために大学がどれほどのコストをかけているか、少し考えていただければと思います。あまり詳しくはお話しできませんが、入試問題の作成にも、大変な労力をかけて作業をしています。それらすべての根底にあるのは、「入学を希望する人に公平に機会を提供し、入学を果たした人に良質の大学教育を受けていただきたい」という思いなんです。

「受験勉強なんかに時間をかけるなら、もっと次の新しいことを学びたい。」 先に書いた通り、受験勉強の内容は大学での勉強の前提になるものです。だから、「受験勉強とは違う新しいこと」を学ぶのであれば、行き先は大学ではないはずですね。もし本気でこう考えているのなら、大学ではなくて専門学校などを考えた方がよいのではないでしょうか?

苦しい思いをしている人に対して、冷たい言い方になっちゃったかも知れません。でも、人生の大事な時期だからこそ、自分が今やっていることの意義を真剣に考えて欲しいと思います。こちらから言えることとしては、大学を目指す限り、受験勉強が無駄になることはありません。また、受験料を支払っていただくのは心苦しくもあるけど、それに見合うだけの公平な選抜をしている、と言い切る覚悟は持っています。よくよく自分の将来を思い悩んだ上で、やっぱり大学に行きたい、と思うのであれば、そこからは迷いを捨てて受験勉強に励んでください。来春によい知らせが届くことを願っております。

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