名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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ブログ「天白で有機化学やってます。」 ブログ「天白で有機化学やってます。」
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TLCプレートを切る2015/08/27(木)

有機合成の実験では、TLC(薄層クロマトグラフィー)が欠かせません。合成反応を仕込んで、最初に予定していた反応時間が経過したら、後処理をする前にまず TLC で分析します。出発物質がまだ残っていたら、さらに反応を続けます。合成を始めたばかりの人にありがちな失敗として、とにかく文献に書いてある通りに作業をして、取り出した生成物を調べたら原料がまだたくさん残っていた、というのがあります。TLC で反応の進行を追跡することを覚えたら、このような失敗がなくなります。出発物質がいつまでたっても残っているようなら、「まだ出発物質が残っている」ことをわかった上で生成物を取り出して、それから精製する方法を考えればよいわけです。

必然的に、TLCのプレートをたくさん消費することになります。TLCにはいろいろな種類がありますが、最もよく使われるのは、シリカゲルの TLC です。ガラス・アルミ・プラスチックなどの板にシリカゲルの細かい粉を薄く貼り付けたものが市販されています。板の種類は好みによります。私はアルミが一番好きです。ガラスは専用のプレートカッターがないと切れないし、プラスチックはシリカゲルの固着が弱いのでボロボロはがれてきます。


アルミ板の TLC。大きさは 20×20 cm。

アルミの TLC を切るための道具は、普通のカッター(刃を折るタイプ)、カッティングマット、カッティング定規です。カッターの刃はすぐにだめになります。1枚のシートを切る間に3〜4回は折って新しい刃を出します。刃をケチると、切り口がささくれてうまく使えないプレートができてしまうし、怪我をする危険も増えますので、替刃をたくさん用意しておきます。カッティングマットは、シリカ面を汚さないように、できれば専用のものを用意しましょう。

カッティング定規というのは、定規の一方の辺に金属の板や棒がはめこんであるものです。普通のプラスチック定規を使うと、カッターでプラスチックを削ってしまって、直線が出なくなることがよくあります。金属がはめこんであると、そういうトラブルが避けられます。私は長いこと、下の写真の「プラス カッティングスケール 5-30」というのを使っていました。この定規は、ステンレス部分の裏側にゴムの滑り止めがついていて、とても使い勝手がよかったのです。ところが、最近買い足そうとしたら、いくら探しても見つかりません。廃盤になってしまったんでしょうか。

そこで、代替品を探しました。カッティング定規はいろいろあるのですが、滑り止めがついてなかったり、カットする方の辺に目盛りがついてなかったり、全部金属製で下が見えなかったり、案外しっくりこないものです。やっと見つけたのが、下の定規です。レイメイ藤井の「すべらないカッティング定規 30cm」です。この定規の滑り止めはゴムではなく、プラスチックの表面をざらざらに加工したものです。金属棒が埋め込んである辺は、大きな数字の目盛りがついているのとは逆側(写真の下側)なので、間違えないように。

アルミでもちゃんとすべらずに切れるかな、と心配だったのですが、大丈夫でした。逆に、だんだん定規がアルミにくっつくようになってくる(理由は不明。静電気?)ので、少し扱いづらいところはあります。

サイズも切る人の好みです。私は長さは 4 cm と決めています。これだと、ギリギリ両側から使えます。幅はきちんとは決めていませんが、だいたい 1 cm 弱です。

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