名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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ブログ「天白で有機化学やってます。」 ブログ「天白で有機化学やってます。」
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Google 翻訳は使えるか2015/05/07(木)

化学系の研究室では、英語の論文を読んで自分の実験の参考にするとか、自分の研究成果を英語のレポートにするとか、とにかく英語での情報収集力・情報発信力が必要になります。そこで、学生に「英語の論文を読んできなさい」と指示すると何が起きるか。原文をコピーして Google 翻訳に食わせて、その出力結果をプリントアウトしてきて、「和訳してきました」と称して読み上げ始めるわけですね。日本語としてまるっきり意味不明の文章をとつとつと読み上げるのを我慢して聞いて、終わったら「で、それどういう意味なん?」と聞くと、何にも答えられなかったりします。それ読んできたって言わんやろ。

まあこれは最近の研究室でよくある残念な光景なわけですが、Google 翻訳の名誉のために付け加えておくと、原文が単純明快で短い文からできている場合は、かなり自然な訳文を出してくれます。私のこのブログの文章なんかは、一文がやたらと長くてだらだら続いていますから、こういうのは機械翻訳とは相性が悪いですね。だって、一つ前の文章、「私のこのブログの文章なんかは、一文がやたらと長くてだらだら続いていますから、こういうのは機械翻訳とは相性が悪いですね」を英語に翻訳したらこんなんですからね。

It is something my sentence of this blog, since sentence has continued doodling been profusely long, this kind of I do not like the machine translation.

なんじゃこれ。これをもう一回 Google 翻訳で日本語に直したらこうなります。

文は継続落書きがやたら長い間されているので、それは私のこの種の機械翻訳が好きではない、何かこのブログの私の文です。

わはは、意味不明じゃん。おっと、全然 Google 翻訳の名誉を回復してないな。いや、何が言いたかったかと言うと、「機械翻訳をうまく使うためには、元の文章を機械翻訳向けに工夫する必要がある」ということなのです。例えば、先ほどの文章を、次のように書き換えてみます。

私はこのブログで長い文を書くことが多い。そのような文は機械翻訳には適していない。

これを Google 翻訳で英語に直すと、こうなります。

I often write a long sentence in this blog. Such statements are not suitable for machine translation.

A long sentence は複数形の方がいいだろう、第二文の statements は sentences じゃないのか、と色々ツッコミを入れたくはなりますが、英文として一応成立はしています。これをもう一度 Google 翻訳で日本語に直すとこうなります。

私はよくこのブログで長い文章を書きます。このような文は機械翻訳には適していません。

おお、ちゃんと元に戻った。このレベルの文章だったら大丈夫なんですよ。正直言って面白みには欠けますが、事実を伝えることはちゃんとできている。論文などの英語は事実を正確に伝えることが主な役割ですから、機械翻訳にもそれなりの出番はあるはずです。

それでは、どう使えばいいか。まず、日本語を英語に翻訳したい時は、まず「短くて、明解な」文を書くことを心がけましょう。英語に訳して、さらに日本語に訳し直した時に、ほぼ元と同じ文が再現できていれば、かなり正確な翻訳ができていると期待できます。

英語を日本語に翻訳するのは、なかなか難しい。原文が「明解に」書いてあればいいんですが、そうじゃない場合はお手上げですね。ただ、案外専門用語に強いという利点もあるので、出てきた日本語を参考にするのは構わないと思います。

どちらにしても、英文の方をちゃんと読まないといけませんよ。機械翻訳はあくまで省力化のためのツールとして使って、最後は自分の頭で仕上げないとダメです。それができない人は、待遇のいい仕事につける可能性がどんどん狭まってきますよ(と脅しておこう)。機械翻訳を「自分の言語能力(日本語も含む)を磨くために使う」というのが、学生が Google 翻訳とつきあうベストなやり方じゃないかな、と思います。

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