CNCフライス盤を導入2015/01/30(金)
小型のCNCフライス盤を買いました。オリジナルマインドの KitMill BT200 です。フライス盤というのは、回転する刃物に対して材料をXYZの三軸に沿って動かして切削して、立体を造形するための装置です。CNCは「コンピュータ数値制御」の略で、材料や工具の移動量をコンピュータを使って数値制御する、という意味です。有機化学の研究室で、自前のCNCフライス盤を持っているところは少ないんじゃないだろうか。

これで何をするかというと、例えばこういうものを作りたいのです。(これが何かはまた後日)

ポリアセタール樹脂を適当に切って削っただけのものです。光化学や電気化学の実験では、こういう小物があると、実験のちょっとした手間が大きく軽減されて、研究をより快適に進めることができるようになります。とはいえ、手作業で作るレベルのものでは、使いづらくてなかなか快適とまではいきません。
そこで、学内の実習工場なり、外部の業者さんなりに製作を依頼するという話になります。でも、そうやって作ってもらったものを実験に使ってみると、たいてい「ああ、ここをこうしとけばよかったなあ」ということになってしまうのです。時には、そもそも設計がおかしくて全然使えなかったりもする。まあ、設計が甘いのがいけないのですが、失敗しないとわからないこともたくさんあります。外部委託だと失敗のたびに時間とお金がかかるので、どうしてもハードルが高くなってしまうのですね。
「こんな部品があったらいいな」というのが手元ですぐに実現できれば、いろいろ試してみるためのハードルがぐっと低くなります。あわよくば、化学の学術研究の枠をはみ出して、「化学エネルギー変換をネタにした『ものづくり』」の入口まで行ければ、と、夢は広がります。応用化学もものづくりもやる、なんて面白いじゃないですか。どっちも中途半端になる、という危険も大いにありますが。
最近話題の3Dプリンタも考えたのですが、材料が限定されるのと、製作物の機械的強度にやや不安があったので、フライス盤を選びました。フライス盤は幅広い材料が使えるし、機械的強度は材料の特性がそのまま保たれます。そのかわり、大量の切りくずが出るので、集塵機が必須です。これが非常にうるさい。集塵機ごと防音箱に入れたいところですが、発熱が問題になりそうです。
メーカーのオリジナルマインドは、長野県の会社です。「日本のものづくりを応援したい」という心意気のもと、個人や教育機関でも手が届く製品を出してくれています。KitMill は組み立てキットですが、非常に丁寧な組立マニュアルがついてくるので、機械工作の経験が全くなくても完成・動作させることができました。このように、入門者に優しい環境を提供してくれる会社があるのはありがたいことです。ものづくり人口の増加に貢献…できるかどうかわからないけど、まあ頑張ります。
上の写真のやつ、今試してみたら、しっかり設計ミスしてました(苦笑)。作り直しだよ。いきなりこれだもんなあ…