名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室
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「総合有機化学実験1・2」2013/08/26(月)

現在応用化学科には1年生しかおりませんが、来年度からは2年生の「応用化学実験」が始まります。大まかな内容は決まっているのですが、細かい実験内容をこれから詰めないといけませんし、テキストも書かなくてはなりません。そういうわけで、いろいろなテキストを参考にしながら準備を進めています。

私の担当はもちろん有機化学実験です。有機化学の実験書といえば、フィーザー・ウィリアムソンの「有機化学実験」(磯部稔他訳、丸善)が鉄板なのですが、本学科の小澤先生から「総合有機化学実験1・2」(ヒューニッヒ他著、吉村壽次他訳、森北出版)という本を紹介してもらいました。これはドイツで使われているテキストだそうです。フィーザーとはまた違った特徴のあるテキストで、私はたいへん気に入りました。

一部ページを引用してご紹介します。シクロヘキセンの臭素化の実験です。


(クリックすると大きくなります。「総合有機化学実験1」40ページより引用)

顕著な特徴が2つあります。1つは、反応式に生成物が書かれていないこと。何が生成するのか、学生は自分で考えないといけません。生成物を得たらスペクトルなどを測定して、何ができたか、なぜそう考えたか、を答えるようになっています。もう1つは、本文の左にある実験器具の模式図です。実験器具の図を描くことは、実験を始めたばかりの学生にはとても有効なのですが、変に写実的な絵を描こうとして時間がかかったり、何が描いてあるのかよくわからなかったりする問題があります。このように図案化してしまえば、描くのがずっと楽になるし、後で見てもわかりやすくなります。

ドイツでは、こういうテキストを使って、じっくりと時間を使って学生実験をするそうです。本学科のカリキュラムでは、有機化学実験だけにそうそう時間は費やせないので、全く同じことは実現できません。それでも、学生になるべく考えてもらう点や、模式図を使って実験器具を図示する方法などは、取り入れて行きたいなと思っています。

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