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Plasma Nitriding(プラズマ窒化)

 プラズマ窒化について

 プラズマ窒化とは、主に工具鋼やステンレス鋼に用いられる表面硬化処理方法の一つです。プラズマ下で金属表面に窒素を固溶させ、表面の結晶構造を変化させることにより表面の硬度・耐摩耗性を向上させることができます。また、窒化処理には塩浴窒化法、ガス窒化法などが挙げられますが、プラズマ窒化はこれらに比べて低エネルギーあり、耐食性を下げる原因となる化合物層の形成を抑制することができます。
 当研究室では、本方法に着目し医療器具やハサミといったステンレス鋼にて製造されるものに対するプラズマ窒化の有用性について研究しています。また、それに伴い均一かつ大体積なプラズマ生成を目的とした電子ビームを用いたプラズマ生成装置の開発、及び本方法に適応可能なシミュレーションの作成を行っております。
















 



 現在研究しているテーマ

・窒化処理による医療器具の性能向上

手術や試料採取に用いられている縫合針や生検針の、器具としての寿命や性能の向上を目標に最適な窒化条件の検討や窒化した医療器具の評価を行っています。窒化処理によって曲げ強さを上げることができ、加えて本研究室の装置の強みである

・針の耐食性を下げる化合物層を作らない
・ 表面粗さを維持することが出来る

という点から、窒化処理は医療器具への適用が有効だと考えます。針先形状の維持や針先のたわみを減らすことで正確な穿刺が行えることから手術時の患者への負担を最小限に抑えることが期待できます。


縫合針



















 
 


生検針
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

・プラズマシミュレーションツールの開発

 新装置を採用するにあたり、適当な窒化パラメータ(圧力や温度など)の決定や新たな条件下におけるプラズマの生成具合を判断するためにシミュレーションを用いる。しかし、本装置で起きる現象を正確に再現するシミュレーションツールがないため、本研究室ではプラズマシミュレーションツールの開発を行っている。
 PIC(Particle In Cell) - MCC(Monte Carlo Collision)法をベースにC++にてコードの作成、及び実機で生成されるプラズマ性状との比較を行っている.
 現在、プラズマの生成プロセスの再現には成功しており、得られたシミュレーション結果を基に実際のプラズマ性状と異なる点について議論、改善を行っている。