研究テーマの一部を紹介します.詳細情報は公開論文なども参考にしてください.
学科ホームページではインタビュー動画も掲載中.
https://meijo-koutsu-kikai.jp/2020tours/

自分で作った宇宙機を宇宙に!

小型宇宙機を用いた宇宙実験プロジェクトを実施中です.


小型宇宙機プロジェクト


1) 太陽中性子およびガンマ線観測衛星 SOlar Neutron and Gamma-ray Spectroscopy (SONGS)
地上からでは大気などによるエネルギ―減衰が大きく,現時点までに観測例が非常に少ない太陽中性子エネルギ―情報を超小型人工衛星を用いることにより従来の地上および軌道上の観測より高感度で観測を行う.その観測結果により,太陽宇宙線の加速機構,中でもイオンの加速機構の解明を目指しています.
本研究室では,このミッションを成功に導くための通信系や熱制御系などの研究開発を担当しています.

*科学研究費・基盤研究A,超小型衛星による、宇宙空間からの太陽中性子観測分野の開拓,研究分担者,2018年〜

2) Imaging X-ray Polarimetry Explorer (IXPE)
名古屋大学U研高エネルギー天文学グループを中心としたグループがNASA/MSFCが主導し2021年度に打ち上げ予定の世界初高感度X線偏光観測衛星IXPEに搭載されるX線望遠鏡用サーマルシールドの開発を担当しています.そのグループにtechnical contributorとして参加し耐環境性評価試験などを一緒に行っています.


超小型人工衛星搭載用多機能デバイスの製作および効率的なシステム検証を実現する評価系の構築


超小型人工衛星は,作り方などによって従来より費用対効果を高くできる可能性があり,新たな宇宙利用手段として注目をあびています.
本研究では,その開発期間を短くできるような仕組みと機器を作り上げていくことを目的としています.
実機試験と数値シミュレーション技術を併用することにより,複数機器を用いた統合システムを効率的にシステムレベルで検証する評価系を実現しようとしています.
また,新素材などを適用した熱的に安定な仕組みを構築する手法なども併せて検討しています.

温度環境試験の様子

*本研究の一部は,JKA競輪の研究補助を受けて実施いたしました.

*公益財団法人JKA,超小型人工衛星搭載用多機能デバイスの製作および効率的なシステム検証を実現する評価系の構築補助事業, 2018-19年


温度依存性の大きい搭載機器の効率的な制御手法の検討


温度依存性の大きい搭載機器に対し,ハードウエア・ソフトウエアを組み合わせた適切なシステムの提案を目指した研究開発を行っています.

*高橋産業経済研究財団 令和4年度研究助成,極限環境下で安全に動作するバッテリシステムの構築, 2022年
*公益財団法人豊田理化学研究所 2022年度豊田理研スカラー, 相変化材料を活用する効率的な超小型宇宙機システム設計手法に関する研究, 2022年
*国内共同研究:環境計測装置および宇宙機用高信頼性電源システムの開発および運用, 2020年
*国内共同研究, 軌道上環境モニタリング装置における実用的省電力システムの検討, 2018年
*日比科学技術振興財団 一般研究課題 使用環境条件によらず長期間安定運用を達成する安全安心なリチウムイオン電池管理システムの構築, 2018年


モデルベース開発パッケージを用いた自動運用計画系の提案


複数宇宙機による大規模ミッションを達成するためには,従来のような人の手による運用計画策定・確認を行っている限りでは,運用コストの効率化などの面に対して支障が残ります.そこで,本研究では適切な粒度で宇宙機システムのモデル化を行い,その開発パッケージを用いた自律運用計画系の可能性について検討しています.

*科学研究費・基盤研究C,CubeSatの熱伝達の不確定性低減と温度制約を考慮した運用計画立案手法の提案,2020年〜
*立松財団 一般研究助成,超小型人工衛星のミッション達成率向上を目指した自律運用計画立案システムの提案,2019〜2021年


特定小電力無線ネットワークの構築


非常時などへの対応を念頭に,衛星を介した広域低消費電力通信網構築を効率的に構築する手法についての検討を行っています.

*日東学術振興財団, 衛星を介した広域低消費電力通信網構築のための基礎技術実証, 2020年

新規要素技術の提案

今までにない仕組みを一緒に考えてみませんか?


熱駆動アクチュエータシステムの提案・評価


温度によって結晶構造が変化する形状記憶合金では,低温時に変形を加えるとエネルギーが蓄積することができ,過熱することにより形状回復力としてそのエネルギーを取り出すことができます.
本研究では,この特性をアクチュエータに応用し,小体積・軽量な高出力アクチュエータ実現可能性を高めるため, 形状記憶合金の応力発生に関連するモデルを構築し,構築モデルに基づき発生応力履歴を正確に制御することを行っています.

*科学研究費・基盤研究(B), あらゆる方策を一つの機構で表現する衝撃応答制御機構と天体着陸探査への応用, 2021年〜
*これからの科学衛星・探査機ミッションを捉えたモーションコントロール技術の展開研究,国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙工学委員会戦略的開発研究費, 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA),研究担当者 2019 〜 2021年

宇宙機の運動を解析

宇宙機が軌道上でどのような力を受けるのかを詳しく解析してみませんか?


宇宙機軌道設計(軌道上環境モデルの構築や応用)


近年,小型宇宙機を用いた宇宙開発利用が注目を集めています.小型宇宙機でのミッション内容が高度化するにあたり,宇宙機自体が持つ機能性能に対する要求も高度化していっています.その一つが,軌道制御です.しかし,小型宇宙機には厳しい質量や体積に対する制約があり,推進機器を搭載できたとしても搭載可能な燃料の量には限界があります.
そこで,本研究では,小型宇宙機が軌道上で受ける環境からの力を詳細にモデル化し,予測することにより,その力を軌道制御に有効に利用することを検討しています.
ただし,宇宙機が飛行する軌道により考慮すべき力が違うこと,それぞれのモデルにも様々な不確定性が存在することがわかっています.
本研究では,モデル誤差の解明とロバストな制御系の構築により,より効率的な軌道変更手法を提案することを目指しています.