活動報告

研究活動

基礎・臨床研究で得られた成果は、積極的に国内外の精神神経薬理学、神経科学および医療薬学関連の学会や研究会にて報告し、世界を見据えて広く社会に発信しています。また、招待講演やシンポジウムなどにおいても多数発表を行っています。

2022年7月23日〜24日

医療薬学フォーラム2022/第30回クリニカルファーマシーシンポジウム

「医療薬学フォーラム2022/第30回クリニカルファーマシーシンポジウム」が北陸大学薬学キャンパス 薬学別館(アネックスファーム)にて「枝葉が伸び、花が咲き続ける医療を支える根幹たる医療薬学の新たな挑戦」をテーマに開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大により現地開催を中止し、WEB開催へ変更となりました。

当室からは、野田幸裕教授がシンポジウム3「アカデミアと臨床薬剤師との連携:リバーストランスレーショナル研究の展開」にて「クリニカルオミクスとrTR研究」と題して発表し、シンポジウム12「認知症の研究・治療から地域医療における薬剤師の役割」の座長も務められました。シンポジウム3の発表では、「教育」・「研究」・「臨床」のそれぞれに知識・技術の偏重がない医療人である「ファーマシスト・サイエンティスト」の育成についての質問があり、2006年の当室開設以来、野田教授が尽力して構築されてきた環境や体制について概説しました。

本学会は病院薬剤師、薬局薬剤師、薬系大学の研究者や学生、および製薬会社の研究・開発・医薬品情報担当者など、参加者は多岐に渡っていたことから、さまざまな視点からどのように医療へ還元しているのか・していくのかについて興味深く拝聴できました。どのような立場であっても、研究者マインドを忘れずに医療に貢献できる薬剤師でありたいと奮起しました。

(報告者:中村真理子)

【シンポジウム】
野田幸裕(7月23日)
シンポジウム3「クリニカルオミクスとrTR研究」
【座長】
野田幸裕(7月24日)
シンポジウム12:「認知症の研究・治療から地域医療における薬剤師の役割」

2022年7月1日

第141回日本薬理学会近畿部会(香川)

「第141回日本薬理学会近畿部会」は新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、オンラインでの開催となりました。今回は一般演題(口演)のみのプログラムであり、オンライン開催のメリットを活かし、第146回関東部会(2022年6月18日開催予定)との共催で、両部会の聴講が可能でした。そのため、関東部会や近畿部会の多数の薬理学、薬物治療学、臨床薬学の大学、企業、あるいは医療関係の研究者が参加していました。

当室からは、野田幸裕が一般演題-1「中枢」(口頭)のコメンテーターを務め、研究員の肥田裕丈が優秀発表賞候補演題-1「中枢1」(口頭)にて「新生仔期プロスタグランジンE2投与による若年・成体期の情動性・情報処理機能と遺伝子発現に及ぼす影響」と題して発表しました。70名以上が視聴者しており、遺伝子発現変化とシナプス形成やグルタミン酸作動性神経に関連した神経化学的異常との間には相関性は認められたのか、精神行動障害が発現したメカニズムとして脳内のどの細胞の関与を考えているのかなどの多くの質問を頂きました。本学会で発表することで、研究の課題が見つかり、今後の研究に活かしていきたいと思います。

(報告者:肥田裕丈)

【コメンテーター】
野田幸裕(7月1日)
一般演題-1「中枢」(口頭)

【一般演題(口頭)】
肥田裕丈(7月1日)
「新生仔期プロスタグランジンE2投与による若年・成体期の情動性・情報処理機能と遺伝子発現に及ぼす影響」

2022年6月30日(木)〜7月3日(日)

第45回日本神経科学大会/第65回日本神経化学会大会/第32回日本神経回路学会大会:NEURO2022(沖縄)

「第45回日本神経科学大会/第65回日本神経化学会大会/第32回日本神経回路学会大会:NEURO2022」が沖縄方言で助け合いを意味する「ゆいまーる ― つながる脳科学 ―」をテーマに、沖縄コンベンションセンター・宜野湾市立体育館・ラグナガーデンホテルでの現地とオンラインでのハイブリッドで開催されました。発表言語が英語であることに加え日本を代表とするリゾート地での開催であることから、アジアや欧米からの参加者も見受けられました。

当室からは、吉見 陽がシンポジウム1S03m「異分野融合による精神神経疾患の新規治療標的に基づいた創薬研究」にて「オミックス技術による統合失調症の病態関連分子の探索とバイオマーカー開発」と題して発表しました。発表後には、リンパ芽球様細胞株のプロテオーム解析で同定された統合失調症マーカーの候補分子が神経系にどのように影響するのか、中枢神経系における局在について検討しているのかなど、多くの質問がありました。予備検討において細胞質や小胞体に局在するMX1タンパク質の過剰発現がERストレス応答を介した細胞脆弱性に関与することから、中枢神経系細胞(ニューロン、グリア)において同様の機能的変化を示す可能性があり、細胞培養系や動物モデルを用いた機能解析と病態生理との関連解析が重要であることを説明しました。

神経・精神疾患の病態解明・創薬に関する先端研究が数多く報告されており、精神医学、神経化学、および薬理学のみならず、タンパク構造解析学やケミカルバイオロジーなどの専門家が活発な議論を交わしていました。日本においても異分野融合による多面的・多角的な研究が進められていることを知る良い機会となり、今後の研究に活かしていきたいと思います。

(報告者:吉見 陽)

【シンポジウム】
吉見 陽(6月30日)
「オミックス技術による統合失調症の病態関連分子の探索とバイオマーカー開発」

2022年6月30日〜7月2日

第49回日本毒性学会学術年会(札幌)

「第49回日本毒性学会学術年会」が「One Healthと毒性学」をテーマに札幌コンベンションセンターにて開催されました。毒性学はさまざまな専門家やステークホルダーの集うトランスディシプリナリティの領域であり、ヒトの健康の実現のために、ヒト、動物、環境/生態系の健康を一つの健康として捉えるOne World One Healthの概念で多数のシンポジウムがありました。

当室からは、野田幸裕がシンポジウム 44「毒性試験では検出が困難な臨床副作用―非臨床からの新たなアプローチ その2(各論)」にて、「行動薬理学から自殺企図を考える:向精神薬との関連性」と題して発表しました。発表後には、向精神薬の有効性だけでなく、オフターゲット作用の評価についてはどのように考えたらよいか、向精神薬による自殺関連行動の予測にはモデル動物への影響を検討する必要があるのかなど、多くの質問がありました。自殺関連行動として衝動性がひとつの指標となると思われるため、正常動物での衝動性に対する化合物の影響を検討し、その後、モデル動物において衝動性が増強されるかどうか検討することが重要であることを説明しました。

北海道は初夏に入り、とてもさわやかな気候でした。本学会で発表する機会から、新たな研究の課題も見つかり、今後の研究の発展に活かしていきたいと思います。

(報告者:野田幸裕)

【シンポジウム】
野田幸裕(7月2日)
「行動薬理学から自殺企図を考える:向精神薬との関連性」

2022年6月9日~13日

第33回国際神経精神薬理学会:The International College of Neuropsychopharmacolgy(CINP2022)(台北)

「第33回国際神経精神薬理学会:CINP2022」が台北での現地とオンラインでのハイブリッドで開催されました。日本とは1時間の時差がありますが、日本からのオンライン参加も容易でもあり、学会後にはオンデマンド視聴も可能でした。最新のテクノロジーを利用して仮想視聴者にプレゼンテーションをライブストリーミングすることで、すべての参加者にすばらしい機会が提供されていました。

当室からは、野田幸裕が一般演題(e-ポスター発表)「Nicotinic acetylcholine receptor subtypes regulate social and cognitive behaviors in mice administered phencyclidine repeatedly」と題して、博士課程2年の吉田樹生が一般演題(e-口頭発表)「The ameliorating effect of memantine on the impairment of social behaviors induced by single social defeat stress as juveniles via regulating the GluN2–ERK1/2 signaling pathway」と題して発表を行いました。オンライン上ではありますが海外の研究者も閲覧しており、研究内容の説明なども行いました。台湾デジタル大臣で新型コロナウイルス感染症の蔓延を見事に抑えられたオードリ・タン大臣の基調講演も楽しく視聴し、精神科医、薬理学者、その他の基礎科学者、および研究心理学者など2,000名以上の参加がありました。

2023年度はカナダのモントリオールで、2024年には東京で開催されますが、次回は海外の研究者と対面で活発な討論ができる日を楽しみにしていきたいと思います。

(報告者:野田幸裕)

【一般演題(e-ポスター発表)】
Yukihiro Noda
「Nicotinic acetylcholine receptor subtypes regulate social and cognitive behaviors in mice administered phencyclidine repeatedly」
【一般演題(e-口頭発表)】
Mikio Yoshida
「The ameliorating effect of memantine on the impairment of social behaviors induced by single social defeat stress as juveniles via regulating the GluN2–ERK1/2 signaling pathway」

2022年3月26日~28日

日本薬学会第142年会(名古屋)

「日本薬学会第142年会(名古屋)」は、主管校として名城大学薬学部が担当し、東海地区での11年ぶりの開催となりました。「創薬イノベーションが切り拓く新時代の医療」をテーマに名古屋国際会議場で開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い全面オンライン形式にて開催されました。本年会は創薬から医療にわたる最新の研究成果や急速に進展する革新的技術などについて情報を共有し、薬学領域の教育研究が貢献すべき次代の医療との関わりについて積極的に議論することを目的としています。本年会は、7,000名を超える参加者があり、盛会のうちに終了しました。

当室からは、野田幸裕教授、博士課程4年の内田美月先輩、博士課程1年の吉田樹生先輩、学部5年の松本あおい、平野結奈および内野里香が一般演題(ポスター)にて発表を行いました。全面オンライン形式での開催ではありましたが、バーチャル会場「oVice」を使用することにより実際に現地にいるような感覚で発表を行うことができました。発表後には、研究の成果をどのように臨床へ還元していけばよいかなど、多数の質問をいただき活発に意見交換を行うことができました。

ポスター発表において、現在の薬薬連携状況や連携するために不足している情報について、病院薬剤師・薬局薬剤師それぞれの立場からの意見を拝聴することができました。退院時にはおくすり手帳に患者の体表面積、薬剤を減量している場合にはその理由など、薬局薬剤師にも情報提供すべき内容をしっかり記載する必要性を学び、アドバンスト実習でも薬薬連携に繋げていけるように努めていきたいと思いました。

なお、本学会において博士課程4年の内田美月先輩と学部5年の内野里香が学生優秀発表賞(ポスター発表の部)を受賞しました。

(報告者:内野里香)

【ポスター発表】
野田幸裕(3月26日)
「2020年薬学共用試験OSCEの結果解析報告と2021年度OSCE結果の速報」
内田美月(3月26日)
「児童に対する薬物乱用防止への取り組み:参加体験型学習の学習効果」
吉田樹生(3月28日)
「脳内免疫系及び神経形態における幼若期の心理社会的ストレス負荷の影響」
松本あおい(3月26日)
「統合失調症入院患者における抗精神病薬の処方状況と減量・減薬の実態調査:多剤併用療法の解消に向けて」
平野結奈(3月27日)
「薬剤師外来における吸入療法の再指導を必要とする患者の特性」
内野里香(3月28日)
「がん化学療法に伴う消化器症状の発現と遺伝子多型の関連性」

2022年3月7日〜9日

第95回日本薬理学会年会

「第95回日本薬理学会年会」が、「イノベーション・コモンズ〜その知の創成と継承」をテーマに、福岡国際会議場および福岡サンパレスを主会場としてオンサイトとオンラインのハイブリッドで開催されました。

当室からは、博士課程2年の中村真理子が「Association between effect of duloxetine on chronic orofacial pain and expression of platelet serotonin transporter in patients with burning mouth syndrome and atypical odontalgia」と題してオンサイトにて、ポスター発表を行いました。ディスカッションタイムには、細胞膜画分でのタンパク質の定量からデュロキセチンの臨床効果についてまで、幅広くご意見・ご助言をいただきました。また、分野を超えて多数の方々が足を運んでくださり、対面でディスカッションできる楽しさも実感しました。講演やシンポジウムでは、iPS細胞を利用した最新の研究技術やケタミンの光学異性体の有用性に関する知見に加え、研究者間のディスカッションを通して神経以外にも着目して考察する重要性を学ぶことができました。大学機関だけでなく研究所や企業において、アカデミアの第一線として活躍される研究者を拝見できて、大変刺激となりました。本学会で得たことを最大限に吸収し、今後の研究活動に活かしていきます。

(報告者:中村真理子)

【口頭発表】
中村真理子
「Association between effect of duloxetine on chronic orofacial pain and expression of platelet serotonin transporter in patients with burning mouth syndrome and atypical odontalgia」

2022年3月6日

第31回神経行動薬理若手研究者の集い

「第31回神経行動薬理若手研究者の集い」が、「題名のない研究会」をテーマに、九州大学を主会場としてオンサイトとオンラインのハイブリッドで開催されました。本テーマには、「あえてテーマを掲げずに各若手研究者の興味ある研究を自由に発表し活発に討論することで、各々の研究と神経行動薬理学分野をさらに発展させ将来に繋げていきたい」という大会長の気持ちが込められています。

当室からは、博士課程2年の中村真理子が一般演題にて、「口腔内慢性疼痛におけるデュロキセチンの効果と血小板セロトニントランスポーターの発現との関連」と題して発表を行いました。発表後には、核のない血小板の発現変化について質問をいただき、新しい視点から考えるきっかけとなりました。池谷裕二先生の特別講演「その日話したいことを話します」では、行動と感情に競合性を求めるという「認知的不協和理論」について、大変興味深く拝聴しました。海外研究者シンポジウムでは、海外で活躍する先生方から「熱意と人脈によって、人生はいくらでも切り拓ける」というメッセージをいただきました。今後も夢を持って、様々なことへ挑戦していきたいと思います。

なお、本研究会において中村真理子は優秀発表賞を受賞しました。

(報告者:中村真理子)

【口頭発表】
中村真理子
「口腔内慢性疼痛におけるデュロキセチンの効果と血小板セロトニントランスポーターの発現との関連」

2022年2月11日~13日

The 21st Asian Conference on Clinical Pharmacy(名古屋)

「The 21st Asian Conference on Clinical Pharmacy(ACCP 2022 in Nagoya:https://site2.convention.co.jp/accp2022-ng/video/)」は名城大学薬学部 亀井浩行教授を大会長として、「The Next Stage of Clinical Pharmacy from Asia」をテーマに開催されました。ACCP 2022 in Nagoyaは、名城大学薬学部八事キャンパスで行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、全面オンライン形式にて開催され、当室の野田幸裕教授は実行委員長、吉見 陽助教は組織委員として企画から運用・運営に携わりました。ACCPはアジア各国の13か国以上が集い、アジアにおける臨床薬学の発展を目指して国情の異なる互いの研鑽の場として毎年開催されており、ACCP 2022 in Nagoyaは、2001年に日本(名古屋)で開催以来21年ぶり2回目となりました。

当室からは、シンポジウム1の「Problem of psychiatric therapy」において、野田幸裕教授が座長を務められ、野田幸裕教授、吉見 陽助教、研究員の肥田裕丈先生、堀田彰悟先生、および博士課程1年の吉田樹生先輩が発表を行いました。また、研究員の加藤博史先生、佐治凪帆先生、博士課程4年の内田美月先輩、博士課程2年の中村真理子先輩、学部5年の内野里香、松本あおい、および平野結奈がe-posterにて発表を行いました。

初めての国際学会ではありましたが、オンラインでの開催により開催期間中ポスターが掲示されていたため、時間をかけ様々な分野の発表を拝見し、臨床現場においての薬物治療の現状や副作用への対策を理解することができました。また、シンポジウムなどを拝聴し、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの中、アジアの国々の薬剤師を取り巻く状況の変化や薬剤師によるワクチン接種などの取り組みを知ることができました。

本学会に参加して、海外の方との討論や情報共有のために、さらに語学力を高めたいと思える良い機会となりました。今回の経験や得られた知見を今後の研究に繋げていけるように努めていきたいと思います。

なお、本学会において博士課程4年の内田美月先輩と学部5年の内野里香がBest Poster Presenter “Student”、博士課程1年の吉田樹生先輩がBest Oral Presenter “Student”を受賞しました。

(報告者:平野結奈)

【座長】
野田幸裕(2月11日)
シンポジウム1:「Problem of psychiatric therapy」
【シンポジウム1】
野田幸裕(2月11日)
「Overview: Problem of psychiatric therapy」
吉見 陽(2月11日)
「A survey of antipsychotic polypharmacy in outpatients」
肥田裕丈(2月11日)
「A survey of antidepressant polypharmacy in outpatients」
堀田彰悟(2月11日)
「Study of long–term users of benzodiazepines in inpatients」
吉田樹生(2月11日)
「Association between situation of sleeping and prescribed hypnotics in outpatients taking hypnotics」

【ポスター発表】
加藤博史(2月11日~2月13日)
「A Retrospective Study for the Identification of Risk Factors Leading to Uncontrolled Breakthrough Pain in Patients Treated with Fentanyl Sublingual Tablets」
佐治凪帆(2月11日~2月13日)
「Perception and Attitudes of Pharmacy Students Toward People with Mental Disorders: A Survey to Hospital Practical Training Student」
内田美月(2月11日~2月13日)
「Participatory Learning Effects in Drug Abuse Prevention Education of Pupils」
中村真理子(2月11日~2月13日)
「Usefulness of Classes and Practices Regarding Medicine for Promoting Appropriate Drug Use Among the Local Community Residents」
内野里香(2月11日~2月13日)
「Gene Polymorphisms in Association with Chemotherapy-Induced Gastrointestinal Symptoms(CIGSs)」
松本あおい(2月11日~2月13日)
「A Survey of Antipsychotic Polypharmacy and the Dose Reduction in Inpatients with Schizophrenia to Promote the Optimization of Pharmacotherapy」
平野結奈(2月11日~2月13日)
「Characteristics of Outpatient Requiring Re-Counseling of Inhalation Techniques in a Pharmaceutical Outpatient Clinic」

2021年12月4日(WEB開催)

SDM Forum 2021

「SDM Forum 2021」が「多職種で考えるSDMとデシジョンエイド」をテーマに、WEB開催されました。

精神科におけるSDM (Shared decision making:共同意思決定)とは、「臨床家と利用者が情報を共有し、選択肢や利用者の好みあるいは治療の責任を議論し、今後の行動について,両者が合意するための相互作用的なプロセス」と定義されています。SDMを行う際、臨床家は治療や支援に共同して取り組むパートナーとして利用者にかかわることが望まれます。また、SDMでは治療内容を決定することだけでなく、コミュニケーションのあり方や利用者の生活におけるリカバリーやセルフマネジメントを念頭においた治療についての議論などに代表される、治療や支援内容の決定に至る「プロセス」が重要です。本フォーラムは、Session 1「重篤な精神疾患を持つ方への心理社会的アプローチとSDM」、Session 2「一緒に決めるためのデシジョンエイドとは」の講演、Workshop「一緒に決めるためのデシジョンエイドを作ってみよう!」およびDiscussion・Q&A Sessionから構成されていました。

Workshop「一緒に決めるためのデシジョンエイドを作ってみよう!」では、薬物療法と社会資源の2つについてグループワークが行われました。当室から野田幸裕が「薬物療法」に薬剤師として参加しました。医師、看護師、および薬剤師の視点からワークシートをもとに、デシジョンエイドを作成しました。本テーマの様に多職種でSDMやデシジョンエイドを考え、精神疾患患者の医療のサポートや医療現場でのチーム医療(多職種連携)の充実につなげたいと思いました。Web開催ではありましたが、多くの先生方が視聴されていました。

(報告者:野田幸裕)

Workshop「一緒に決めるためのデシジョンエイドを作ってみよう!:薬物療法」
野田幸裕(12月4日)

2021年12月4日・5日(オンデマンド配信:11月19日~12月28日)

第41回日本看護科学学会学術集会(名古屋)

「第41回日本看護科学学会学術集会」が「共創による新たな看護科学の可能性」をテーマに、WEBにてライブ配信(12月4日・5日)とオンデマンド配信(11月19日~12月28日)のハイブリッド形式で開催されました。

日本薬理学会は2018年からシンポジウムとセミナーを通じて、看護に必要な薬理学知識に関するより一層の啓蒙活動を行うとともに、これまで薬理学にあまり接点のなかった看護の様々な領域と薬理学との橋渡し人的交流を目指しています。こうした趣旨を受けて、理事会企画として2020年度よりホーム・アンド・アウェイ方式で互いの学術集会のシンポジウムで発表を行ってきました。本年度の学術集会では相互理解をより深める目的で共同学術企画「スコーピングレビュー:インスリンボール」が企画されました(日本看護科学学会・日本薬理学会共催)。日本薬理学会からは、当室の野田幸裕が「薬理学からみたインスリン皮下注射部位の硬結」と題してシンポジストを務めました。インスリンボールについて、看護学と薬理学の双方の立場から薬理学研究に関する重要性、課題について活発な意見交換がなされました。こうした交流企画が看護と薬理学との橋渡しとなり、研究・学術交流だけでなく、医療現場での問題解決、さらには多職種連携の充実につなげたいと思いました。

(報告者:野田幸裕)

シンポジウム2 「スコーピングレビュー:インスリンボール」
野田幸裕(ライブ配信:12月4日、オンデマンド配信:11月19日~12月28日)
「薬理学からみたインスリン皮下注射部位の硬結」

2021年10月22日~23日

第7回アジア神経精神薬理学会(AsCNP2021)

「第7回アジア神経精神薬理学会(AsCNP2021)」が「Advances in Neuropsychopharmacology: Spotlights on progress and beacons to the future」をテーマに、全面オンライン形式にて開催されました。

当室からは、博士課程2年の中村真理子が一般演題(e-ポスター発表)「Clinical effect of duloxetine associated with downregulation of platelet serotonin transporter on chronic orofacial pain」と題して発表を行いました。国際学会に参加するのは初めてであり、自身の研究成果がバーチャル会場に映し出されると、オンライン上ではありますが海外の研究者も閲覧していると思うと感激しました。次回の機会では海外の研究者と対面で活発な討論ができるよう、英会話力も向上させていきたいと思います。

なお、本学会において中村真理子はBest Young Clinicianを受賞しました。

(報告者:中村真理子)

【一般演題(e-ポスター発表)】
Mariko Nakamura
「Clinical effect of duloxetine associated with downregulation of platelet serotonin transporter on chronic orofacial pain」

2021年10月9日~10日(オンデマンド配信:10月15日~11月30日)

第31回日本医療薬学会年会(熊本)

「第31回日本医療薬学会年会」が熊本城ホールにて「伝承と挑戦・進化~未来志向で医療薬学を俯瞰する~」をテーマに、ハイブリッド開催(現地開催+会期後オンデマンド配信)の予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大により現地開催を中止し、完全Web開催(ライブ配信+オンデマンド配信)へ変更となりました。

高齢化社会が急速に進展するとともに、医療環境や医療開発を巡る情勢が著しく変化している一方、大規模地震、豪雨、新型コロナウイルス感染症等の未曽有の災害が頻発している状況にあり、多様な災害発災時の医療提供体制やそれらを担う医療従事者の教育研修も不可避となっています。本年会では、そのような医療情勢の変化を見据え、これまで醸成されてきた学術的財産・知識を継承し、次世代と未来へ繋ぐため、伝統ある医療薬学を伝承するとともに俯瞰し、未来に向けてさらに発展・進化させるための基盤づくりを議論することを目的としています。

当室からは学部6年の北澤沙英(衛生化学研究室アドバンスト学生)が、一般演題(e-ポスター発表)「シスプラチンベースのがん化学療法におけるハイドレーションと有害事象発現に関する調査」と題して発表を行いました。現場で活躍されている薬剤師の先生方に、現場の視点から質問をしていただき、今後の検討課題について再考する良い機会となりました。

完全Web開催となったものの、特別講演やシンポジウムにて幅広い分野の講演を拝聴することができました。中でもシンポジウム11「コロナ禍を経て全ての薬剤師に求められる感染症領域の知識とスキル」では、コロナ禍における薬剤師の役割について学びました。これまで感染症分野では、ICT(予防)やAST(治療)における薬剤師の活躍が注目されてきましたが、現在、世間の関心は予防に向けられています。インターネット上で誤った情報も散見されるため、感染症やその予防に関する基本的な知識とスキルをもった薬剤師が消毒薬の適正使用推進などの教育活動やワクチン調製を通して、感染対策をリードしていくべきであることを学びました。

本大会を通して、大学の講義だけでは知ることのできなかった、臨床現場での実際の問題点とそれに対する取り組みおよびコロナ禍における薬剤師の役割について現場の先生方の考えや活躍についても知ることができました。今後は、地域住民の暮らしを多角的にサポートしていける薬剤師を目指していきたいです。

(報告者:北澤沙英)

【一般演題(e-ポスター発表)】
北澤沙英
「シスプラチンベースのがん化学療法におけるハイドレーションと有害事象発現に関する調査」

2021年10月7日~8日(オンデマンド配信:10月13日〜31日)

第31回日本臨床精神神経薬理学会(東京)

「第31回日本臨床精神神経薬理学会」が「世代を寄り添う薬物療法」をテーマに、タワーホール船堀(東京)を主会場としてオンサイトとオンラインのハイブリッドで開催されました。
当室からは、博士課程2年の中村真理子が「口腔内慢性疼痛患者におけるデュロキセチンによる疼痛緩和と血小板セロトニントランスポーターの発現減少の関与」と題してオンサイトで口頭発表を行いました。口腔内慢性疼痛の病態やデュロキセチンの作用におけるノルアドレナリントランスポーターの関与などについてご質問をいただき、今後の展望を考える良い機会となりました。
当室の野田幸裕教授の恩師である鍋島俊隆先生の特別講演「どのように研究をするか?興味があることについて、できることから始めよう」は、“どんな環境であっても研究はできる、やるかやらないかは自分次第である”という若手研究者への激励の内容であり、大変感銘を受けました。当室の研究マインドは鍋島先生から継承され、野田教授の研究・教育の原点であることを痛感し、自分もそのマインドを繋いでいきたいと強く思いました。一報でも多く成果を論文として残せるように日々尽力してまいります。
(報告者:中村真理子)

【一般演題(口頭)】
中村真理子(10月7日)
「口腔内慢性疼痛患者におけるデュロキセチンによる疼痛緩和と血小板セロトニントランスポーターの発現減少の関与」

2021年8月25日

第2回つるまい吸入療法セミナー(名古屋)

「第2回つるまい吸入療法セミナー」がオンラインにて開催されました。

スペシャルレクチャーでは名古屋大学医学部附属病院 呼吸器内科の若原恵子先生が「withコロナの喘息・COPD診療」と題して、当室の野田幸裕教授が「コロナ禍での喘息・COPDの吸入指導」と題して、講演を行いました。講演後の「医・薬・薬・薬 連携の今後」では、コロナ禍における名古屋大学医学部附属病院での薬剤師吸入外来の運用や薬局での吸入指導時の対応について、地域薬局の薬剤師の方を含めたディスカッションが行われました。

喘息やCOPD患者が吸入薬を正しく継続して使用するためには、吸入指導による操作説明と手技確認が重要になります。コロナ禍でも感染対策を講じた対面での吸入指導や電話などの非対面での吸入指導が行われており、今後も患者の吸入アドヒアランス向上に繋がる薬剤師外来(喘息・COPD吸入療法外来)の運用を行っていきたいと思います。

(報告書:内田美月)

【スペシャルレクチャー】
野田幸裕
「コロナ禍での喘息・COPDの吸入指導」

2021年8月21日〜22日(WEB開催での会期:8月20日〜31日)

第5回日本精神薬学会総会・学術集会(福岡)

「第5回日本精神薬学会総会・学術集会」が、九州・福岡にて「Leap~With thanks to our forerunners」(飛躍~先駆者たちに感謝して)をテーマに開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、WEB開催へと変更となりました。

本総会・学術集会において、野田幸裕教授が第2回抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップの企画/運営およびランチョンセミナー4の講演を務められました。これまで、抗精神病薬に関する減薬・減量のガイドラインを作成するため、減薬・減量の経験を有する薬剤師を対象としてワークショップを開催してきました。昨年の第50回日本神経精神薬理学会年会/第42回日本生物学的精神医学会年会/第4回日本精神薬学会総会・学術集会 合同年会本合同年会では、WEB開催に合わせ、オンラインワークショップとして初めて開催しました。本総会・学術集会では、オンラインワークショップの2回目となりますが、昨年の経験を生かした時間配分や構成の見直しにより、WEB開催の中でも参加者を増員することができました。それに伴い討論する症例数を増やし、対面に遜色ない開催となりました。

今回初めてファシリテーターとして参加させていただきましたが、現場で薬剤師として活躍される参加者の討論から、普段の業務における減薬・減量の注意点や実際の患者の抗精神病薬の使用感など、多くのことを学ぶ機会となりました。

「Dopamine Serotonin Antagonist(DSA)の可能性」と題したランチョンセミナーでは、当室の野田幸裕教授が、ブロナンセリンの臨床における有用性から基礎における薬理学的特性まで概説されました。臨床と基礎の融合を図った講演であり、自分の志すファーマシスト・サイエンティストそのものでした。目標となる先生にご指導いただける環境に感謝しながら、日々の臨床・研究活動により一層励んでいきます。

(報告者:中村真理子)

【ワークショップ】
野田幸裕(タスク/運営)、吉見 陽(タスク/運営)、内田美月(ファシリテーター)、中村真理子(ファシリテーター)、吉田樹生(ファシリテーター)(8月22日)
「第2回抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップ」

【ランチョンセミナー4】
野田幸裕(8月22日)
「Dopamine Serotonin Antagonist(DSA)の可能性」

2021年8月21日~22日

第6回日本薬学教育学会大会

「第6回日本薬学教育学会大会」は「今に挑戦する薬学教育~ニューノーマル時代の学び~」をテーマとして、名城大学薬学部にて開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を考慮し、WEB開催となりました。

本学会では、研究成果の発信とその教育現場における実践・検証も含めた情報共有の場を提供することを目的として活動しています。

当室からは野田幸裕が一般演題(e-ポスター発表)「2020 年度第 12 回 薬学共用試験 OSCE の結果解析」と題して発表を行いました。2020年度のOSCEは新型コロナウイルス感染症への対応方針に基づき実施されましたが、2021年度も感染拡大状況に応じて実施されると思われます。

(報告者:野田幸裕)

【一般演題(e-ポスター発表)】
野田幸裕
「2020 年度第 12 回 薬学共用試験 OSCE の結果解析」

2021年8月18日(WEB開催での会期:8月18日~9月17日)

日本看護学教育学会第31回学術集会(名古屋)

「日本看護学教育学会第31回学術集会」が、名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻の池松裕子教授を大会長として、「COVID-19危機から学ぶ看護学教育のグローバルイノベーション」をテーマに、オンライン形式で開催されました。

当室からは、野田幸裕教授と吉見 陽が交流セッション7の「模擬患者参加型多職種連携教育の“これまで”と“これから”」の企画を担当し、野田幸裕教授が「薬学生に期待される視点と方略」と題してシンポジストを務められました。交流セッション7には看護学教員・看護師・看護学生35名が参加し、質疑・応答では「多職種連携プログラムへの参加者をどのようにリクルートすればよいのか」、「模擬患者との医療面接で各自の専門性を発揮したり連携したりするために工夫していることはあるか」など、実際に多職種連携教育に取り組んでいる看護学教員から講義運営や教育上の課題について活発な意見交換がなされました。シンポジストである各領域の教員からは、多職種連携教育プログラムの立ち上げから各大学におけるカリキュラム編成に至るまでの取り組みについて紹介がありました。多職種連携教育には、それに関わる教員同士の連携が必要であり、その姿勢を学生に示すことも重要になることを再認識しました。今後も国内外の教育機関や医療施設における多職種連携教育の動向について情報を収集し、関係教員で情報共有・意見交換することでより良い教育プログラムの構築につなげたいと思いました。

(報告者:吉見 陽)

【企画】
野田幸裕、吉見 陽(8月18日)
交流セッション7:「模擬患者参加型多職種連携教育の“これまで”と“これから”」

【交流セッション7】
野田幸裕(8月18日)
「薬学生に期待される視点と方略」

2021年7月14日~16日(WEB開催での会期:7月7日~16日)

第43回日本生物学的精神医学会/第51回日本神経精神薬理学会 合同年会(京都)

「第43回日本生物学的精神医学会/第51回日本神経精神薬理学会 合同年会」が、国立京都国際会館にて「脳と心の病に斬りこむ最前線」をテーマに、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、現地参加とオンライン参加が可能なハイブリッド形式で開催されました。

当室からは、野田幸裕教授がシンポジウム1の「精神疾患の発症・病態における免疫・炎症・酸化ストレスの関与」において「新生仔期プロスタグランジンE2(PGE2)投与による神経発達と精神行動への影響」と題して現地から発表を行い、同シンポジウムの座長も務められました。一般演題では学部6年の鎌田朋見も現地においてポスター発表を行い、脳内神経伝達物質の変化とモデルマウスの表現型との関連など多くのご質問を頂きました。

特別講演の「シナプスの可視化とその脳疾患研究への応用」では、最新技術を用いた樹状突起スパインの解析方法やスパイン形成のメカニズムに関する知見を深めることができました。

今回、現地での学会参加・発表を行い、学会の雰囲気を味わうことができ、さらに精神神経薬理学を専門とする研究者の方々と直接交流することができました。この機会で得た知識や考え方を卒業研究にフィードバックしたいと思います。

なお、本学会において、学部6年の鎌田朋見がBPNP2021注目演題賞を受賞しました。

(報告者:鎌田朋見)

【シンポジウム】
野田幸裕(7月14日)座長/シンポジスト(シンポジウム1)
シンポジウム1(座長):「精神疾患の発症・病態における免疫・炎症・酸化ストレスの関与」
シンポジウム1(シンポジスト):「新生仔期プロスタグランジンE2(PGE2)投与による神経発達と精神行動への影響」

【一般演題(ポスター)】
鎌田朋見(7月16日)
「フェンシクリジン連続投与マウスにおける精神行動に対する前頭前皮質の神経異常の影響」

2021年7月4日

20th Asian Conference on Clinical Pharmacy(シンガポール)

「20th Asian Conference on Clinical Pharmacy」が、Singaporeにて「Pharmacy Beyond 2020 – Changing Landscapes, Improving Lives」をテーマに開催されました。

当室からは、野田幸裕がe-posterにて発表を行いました。外来患者に対する病院と薬局での吸入指導の相違や双方の連携について、コロナ禍での吸入指導の工夫などの質問があり、海外の教育・研究者から非常に興味を持って頂きました。吸入指導を通じて患者のアドヒアランス向上と症状緩和に寄与することを目的し、コロナ禍でも吸入指導をする意義や、地域連携の重要性について意見交換ができました。

多国の大学教員や病院・薬局の薬剤師との交流も深めることができ、アジアの臨床薬学の発展に向けて、一致団結した学会でした。

(報告者:野田幸裕)

【ポスター発表】
野田幸裕(7月4日)
「Effects of a pharmacist-led inhalation therapy support for symptoms and lung function in outpatients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD)」